日本酒をお湯でなく、電子レンジで温めると
①味が変わる(分子が壊れる)
②温度にムラができる
③アルコールが飛ぶ
という意見をたまに聞く。
まずは、
①味が変わる(分子が壊れる)
について、
■そもそも熱、温度とは、
熱力学における熱とは、1つの物体や系から別の物体や系への熱接触によるエネルギー伝達の過程であり、
ある物体に熱力学的な仕事をすることでその物体に伝達されたエネルギーと定義される。
物体間の熱によるエネルギー伝達は、熱放射、熱伝導、熱伝達(対流)に分類される。
温度とは、寒暖の度合いを数量で表したもの。具体的には物質を構成する分子運動のエネルギーの統計値。
wikipediaより
→要は物質の分子運動を増やせば熱量、温度は上がる
■電子レンジの仕組み
2450MHzの電磁波(電波)を使用して、水分子をよく振動させ、温める
原理としては、マイクロ波が照射されると、極性をもつ水分子を繋ぐ振動子がマイクロ波を吸収して振動・回転し、温度が上がる。
wikipediaより
マイクロ波の周期程度の時間スケールでは、個々の水分子の全体の運動は振動ではなくて、
並進運動と回転運動をしているだけで、どちらの運動も拡散的である。
山形大学の研究室
http://www.cm.kj.yamagata-u.ac.jp/atom11archive/water/microwave.html
より
ということで、分子が壊れるということはなく(そもそも壊れたら化学反応か、核反応)、
あくまで、分子の運動を増やすのみ。
なので、お湯で温めようが、電子レンジで温めようが味は変わらない。
②温度にムラができる
電子レンジで燗をすると、多くの徳利では上下の温度差が20度~35度にもなり、加熱にムラを生じることがあります。これは徳利の形状によるもので、特に首の細いものや、容器の角、尖った部分は電力密度が高くなり局部的に加熱されるのが原因です。
月桂冠総合研究所
http://www.gekkeikan.co.jp/RD/research/sake001.html
より
そりゃ、徳利の首上までお酒を入れていれば、首の部分にマイクロ波が集中し、熱が集中するわという話で、
徳利の首下までであれば、ムラはできない。
なぜなら、電子レンジは徳利(本体には水分はない)を温めているのではなく、
水分を温めているから。
③アルコールが飛ぶ
アルコールの沸点は78度なので、上記「温度にムラができる」ことにより、一部が沸点以上の高温になった場合に、
お湯でのお燗に比べてアルコールが飛ぶことは考えられる。
しかし、ムラが無く高温にならない場合は、お湯でのお燗と変わらない。
今度は、前日からの割水についても考えてみるか。
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